バッハのコーヒーカンタータを生で聴いて

2016年03月22日 | Blog Owner JUN' Blog

カンタータブログ

3月21日祝日でバッハの誕生日に、このKATACHIで「R・ピアノ教室」の伊与田令子さん企画・主催の「課外授業バッハのコーヒーカンタータ」が開かれ、今までにない経験をしました。

「R・ピアノ教室」の生徒さんたちが、この日のための準備や練習などを何日も前からされていたのを生徒さんの表情から感じることができました。他でなかなか挑戦されない難しい曲に、生徒さんたちがプロの方々に混じって重要どころに参画され、演じきられたことに深く感銘を受けました。ここが、何時までも生徒さんの心に残る貴重な場所になったことを嬉しく思っています。   こちらも見て下さい。

http://ekpiano.exblog.jp/25545004/, and http://ekpiano.exblog.jp

 

ここで演じられたバッハのコーヒーカンタータには、ただただ震えが止まらないほど感動し、終始、前のめりになっている我に気付きました。
フェスティバルホールでも、デジタル3D音響でも、アナログヘッドホーンでも聴いたこともなく、大迫力スピーカーからの音響でもない。ドーム状に響く音響効果でもない。スピーカーの膜の振動から伝わる音と全く違う音質を初めて味わいました。
体育館の音響でも、大阪ドームの音響でもない音を初めて知りました。

弾き手の弦の振動が、鼓動とともに直接からだが受け、吹く気が直接音になるのを聴きました。身体から迸る澄んだ声が心を突き通し、迫力ある声が全身を震わす歌を聴きました。どんな音響機器でも現すことのできない音を聞きました。不思議と器械音響を聴くと音域によっては耳鳴りがする私も、今日は耳を通して聴いている気がしない。宮廷音楽とはこれなんだ、室内管弦楽はこれなんだと感じました。息づかいを感じる距離で音を歌を聴く、こんな贅沢はこの先経験できるでしょうか。

バッハのコーヒーカンタータは重厚なバロック音楽の巨匠のドイツ風狂言か?
場面は中世を思わせるが、少し前の日本のどこにでもあった風景。旧家を永らえんとする家に縛られた父、家を守ろうと思いながらも流行を追う娘、跡を継ぐ者の強さ。この状況をユーモラスなタッチで音に織りなす意地悪っぽいバッハ。歌詩は先付けか後付けか判らないが、きわどい話を堂々と言い合いながら日本の狂言を見るような光景がカンタータを通して見えてきて、偉大なバッハを初めて身近に感じました。バッハ党の人がいるのを聴いていましたが、バッハのイメージがもろくも崩れ、バッハのカンタータに魅せられました。

春の日に、バッハの余韻に浸るなか、思いもかけず入魂式を終えた内代地車(125年目の大修理)のお披露目曳行の天神囃子が通り過ぎ、くしくも東西のいにしえの曲の競演となりました。     中庭の春の日だまりに咲く淡いシデコブシの花もまたたのし。